お世話になっております。弁護士の井上大輝です。京都はすっかり初夏、ゲコさん(カエル)たちも各田んぼから、かなり元気よく鳴いています。
コラムの2回目は、離婚をテーマに扱いたいと思います。
といっても、離婚については色々なホームページに詳細なアドバイス事が沢山載っているので、あえて僕は
「要はこれだけ!離婚手続のまとめ」
みたいなことをまずは書いてみようと思います。
僕も弁護士として色々やってきましたが、こと離婚問題は、難しいですね・・・もう、人生そのものですからね・・・
いわゆる熟年離婚、長年連れ添ってきた伴侶に色々我慢してきたけどもう限界、というお話から、諸行無常の婚約破棄、成田離婚に近いお話、色々やってきました。
弁護士がアドバイスすることで当事者同士、お話し合いがうまくいき、円満に解決できたというケースもありますが、長い短いはあれ同じ時を一緒に過ごしてきた者同士、好きだったからこそ憎い、話し合いをする空気にもならない、ということも相当ありました。
弁護士が介入すべきような場合では、直接お話し合いで解決するというより、「調停」という手続を使う方が良い場合が多いように思います。
「調停」というのは、離婚のお話をするときに、夫婦が直接話し合うのではなく、裁判官の指示を受けた「調停委員」という方々が間に入って話をするという手続です。
例えば、妻の側が「調停」をしたいと裁判所に申し立てたときは、
(1)申立人である妻の側から調停委員のいる部屋に行き、調停委員(2人)が話を聞く(20~30分)⇒終わったら妻と(妻の弁護士)は退席
(2)夫の側と交代。相手方である夫の側から同じ調停委員が話を聞く(20~30分)。⇒終わったら夫(と夫の弁護士)は退席
(3)妻の側が入室、夫の側から話を聞いた調停委員(2人)から、今後の解決の方向性について提案があったり、夫の側がした話に対する妻の側の意見を聞いたりする時間が取られる(20~30分)
(4)再び交代。夫の側にも同様に、調停委員から妻の側の意向を踏まえた説得があったり、妻の側がした話に対する夫の側の意見を聞いたりする時間が取られる(20~30分)
という感じで話が進んでいきます。
1日で解決しないことの方が多いので、毎回宿題のようなものが設定され、次の日(1~2か月後)までにその宿題をこなしてきて、また話をして・・・
こういう流れを繰り返していき、離婚に向けてのお話をまとめたり、離婚の条件が整わなかったり条件次第では復縁できそうだったりすれば、別居や円満に向けての条件を整えたりすることになります。
離婚の問題の場合、いきなり「裁判」しないといけないということは、相当少ないです。
というのも、裁判所で離婚のお話をするときには、特別な理由がない限り、まずは「調停」の手続をやってみて、第三者である調停委員が間に入って話し合ってみませんか、ということが決まっています(家事事件手続法257条)。それで、大概の場合であれば、調停手続でお話を進めて、らちが明かなくなったときに裁判、という流れになります。
と、いうわけで・・・僕が代理人として離婚の条件を交渉するときも、案外、裁判までは行かず、調停手続で済むことの方が多いというのが実感です。
相手方の方が口が回るから、話し合いだと・・・と落ち込んでいらっしゃる方も多いという印象もありますが、弁護士としてしっかりアドバイスし、毎回手続にしっかり付き添いますし、相手さんのペースにのまれないようなやり方で話を進めるにはどうすればいいか、ということを考えてご提案できれば、と考えています。
次回は、離婚を考えた時に何を決めることになるのか、どういう中身の話をするのか、というテーマで書いてみたいと思います。