井上大輝法律事務所

【一般民事】もし歩きや自転車で人を怪我させてしまったら(1)それも保険の確認を!

2019年06月01日コラム

今回のコラムは毛色を変え、日常生活で気をつけたい話をしたいと思います。

京都はだいぶ日中が暑くなってきて、日傘を使われる方も増えてきました。

天気のいい日も多く、自転車に乗っている人も見ているだけで暑そうな様子です。

京都は自転車の数も多いですし、平日休日問わず、街中を歩いている人の数も多いです。なので、日傘をさしている人を少し見ていると、「あ、ぶつかりそうだな、危ないな」と感じてしまうこともあります。また、自転車の方の飛び出しや逆走、あるいはスピードをつけて歩道を走って歩行者の至近距離を通過しようとしていたり、自動車が近づいているのに車道を横断されていたりするのを見ると、「あかん!ぶつかる!」と思ってしまいます。

ちょっとした不注意が原因で大きな怪我をするともう本当に、お互いつらいだけですから、何事もないのが一番です。ただ、もしもの時に備えて、日頃お客様から保険のことについて相談された際には、

「個人賠償責任保険特約と人身傷害保険特約には、絶対入っておいた方が良いです」

とお勧めしています。

個人賠償責任保険というのは、自転車に乗っているときや、日常生活の中で人を怪我させてしまったときに、車の保険と同じように保険会社から賠償金の支払をしてもらえるというものです。会社によっては、保険会社担当者による示談代行もついていますし、賠償のお話がこじれてしまったときの弁護士費用、裁判費用についても保険会社にお支払頂けることがありますので、かなりお勧めです。

自動車保険にセットされているときもありますし、賃貸住宅等の火災保険、あるいはクレジットカードの保険にくっついているときもあります。自転車の場合、TSマークを貼っている自転車に乗っている時であればその保険も使えることがありますが、怪我が重く、賠償額が高くなりそうなときにも対応できるという点で、やはり「個人賠償責任保険特約」がお勧めです。

歩行者対自転車の事故、自転車対自転車の事故、さらには歩行者対歩行者の事故であっても、歯や大事な骨が折れたり、肩が外れたりすると相応の賠償を覚悟する必要があります。自転車保険加入を義務化する自治体もあるくらいですので、万が一の際は必ず、自分が入っている保険やカード類のどれかに「個人賠償責任保険」(会社によっては日常生活〇〇特約、等の名前です)がついていないか、確認されることをお勧めします。

一方、人身傷害保険特約というのは、車の保険についている特約で、自分が事故に遭ったときに、加害者に代わって自分の保険会社が怪我の治療費や慰謝料の一部を、立て替えて支払ってくれる、というものです。保険会社が立て替えて払った分は、後々保険会社から加害者(又は相手方保険会社)に請求が行きますが、自分に過失ある事故の場合でも相手方が無保険の場合でも、被害に遭った側の損失をできるだけ減らせるというのが特徴です。

保険会社によっては、人身傷害保険特約の補償範囲が自動車事故限定ではなく、自転車事故や日常生活での事故でも保障されるものがあります。そのため、加害者の方から賠償を受けられなかったり、加害者がわからなくなってしまったりした場合でも、こういう保険に加入していると自衛できますので、かなりお勧めです。車の事故の場合の弁護士費用保険特約についても、保険会社によっては、自動車事故限定ではなく、自転車事故等に使えることがあります。最近、そういう弁護士費用保険特約を付ける保険会社が増えてきています。日常生活の中で事故に遭われた際も、まず自身の保険も確認してみるのがお勧めです。

特に単なる傷害保険の場合では、被害に遭われた方の実際の損害額とは関係なしで、治療日数や残ってしまった症状(後遺症)に対して一定額の補償だけ、というパターンが多いのですが、個人賠償責任保険特約や人身傷害保険特約の場合は、実際の損害額に対する相応の賠償額を請求しうることになります。さらに、加入した本人が車に乗っている場合だけではなく、同居親族、あるいは別居でも未婚の子が生活の中で事故に遭ってしまった場合まで補償できる人の範囲を広げている会社もあります。

弁護士は、字の小さくてやたら小難しい約款や説明書を読むのも慣れています。事故に遭ってしまった、あるいは街中で人を怪我させてしまったという場合は、保険に関する書類をごっそりお持ち下さい。僕が補償内容を確認して、これからどうするのが良いのか、助言致します。