井上大輝法律事務所

【交通事故】事故に遭ったときにまずしておくこと(2)すぐに病院へ!

2019年05月20日コラム

先週金曜日、土曜日は体調不良で一部仕事を休んでしまい、すみませんでした。

コラムの続きは、交通事故(2)、治療についてです。

交通事故に遭ったときは、身体のあちこちに、色々な負荷がかかります。もちろん、状況に応じて痛みの出やすい箇所、出にくい箇所は色々ですし、痛みのでるタイミングもまちまちですが・・・事故の相手方(保険屋さん)に治療の必要性を示す意味でも、とりあえず病院に行くことが大事です。

明らかに骨が折れていたり、出血していたりする場合には直ちに病院へ行かれる方が多いですが、事故に遭ってしばらくしてから痛みが出てきた、という方もいらっしゃいます。事故から1週間が経過してから痛みが出た、という場合、事故が原因となった痛みかどうか、こちらで完全に証明しきることが難しくなりますし、痛みが出始めた時点で無理をせず、すぐに空いている病院へ行くことが大事です(土日祝でも痛みの出方によっては、急患として診察を受けることをお勧めします)。

事故の当日は、事故に遭ったことの動揺や事故の相手方に対する怒りの感情もありますので、痛みを痛みと感じにくいことがあります。なので、事故に遭った当日に痛みが出なかったとしても、例えば首や腰に違和感のようなものがあったり、めまいや吐き気のようなものがあったりするときは、すぐに病院へ行かれることをお勧めします。

大事なことなので3回も書いてしまいましたが、とにかく「病院」に行くことが大事です。

最近、交通事故対応を掲げる鍼灸整骨院さんも増えてきていますが、そのことの問題はまた別の機会に触れるとして、最初から鍼灸整骨院に行く、というのは非常にまずいです。

確かに、「病院の先生は何も聞いてくれへん、整骨院の先生はよく聞いてくれるし、親切や」「病院の薬は効いた気がしないけど、整骨院のリハビリは良く効く」「東洋医学も医学やないか、何であかんねん」というお話をお伺いすることもあります。事実僕も、持病の類を、かかりつけのお灸の先生に、お灸と針で治してもらったこともありますので、あまり強く言えないのですが・・・

法律の世界では「はっきりデータや書類でわかる」西洋医学が好まれます。東洋医学を理解するには熟練度が要るということと、検査ではなく人間の五感によって症状を把握することが多いということが難しいのだと思われます。なので、レントゲンやMRI、各種検査のデータや、西洋医学・解剖学に基づく知見による判断によって、病状や治療の経過を病院できちんと診断・記録して頂くことが必要になります。

整骨院での治療費の相場が病院よりも高くなることもありますし、整骨院治療費がかさむと保険会社から「そろそろ治療を終わって頂きたいのですが・・・」と言われ、検査画像等で病変がはっきり映っていない(あるいはそれ以上改善はしないだろうという)場合には最悪、「治療の必要性がわからない(=法的に証明されないものは払えない)」という理由で治療を打ち切られてしまう可能性もあります。

病変の存在が分かる場合でも、「病院で治療を受けるべきである」として、最終的に話がこじれた時(裁判になったとき)に、治療費満額の支払には応じられないという主張をされる可能性もあります。具体的に整骨院治療の必要性、効果、整骨院治療を相当とする合理的理由が説明できる場合は別として、余計な心配事を増やさないためにも、最低限、定期的に病院で診察を受けることは必要になるかと思います。

今回割と口調が強めですが、整骨院治療が良い、病院ではいい先生が見つからなくて、あるいは〇〇病院で実は嫌な思いをしてそれ以来病院が苦手で・・・、というお客様の声をお伺いしてきて思うことは、できるだけお客様に、治療の効果の面でも精神の面でも適した治療を受けて頂きたい、つまらない理由でそういう気持ちを誰かに否定されるような事態は起こしたくない、ということです。本当は、病院で相性の良いお医者様と出会えることが一番ですが、現実問題として、必ずしもいい出会いばかりではないことは、多くの交通事故に関するお話をお伺いしてきて思うことですので、良く理解しているつもりです。

状況を見極めながら、適切な治療の受け方をアドバイスできればと思います。