井上大輝法律事務所

【相続】遺言で気をつけたいこと(2)

2019年05月15日コラム

(2)遺言の中に財産の残し方やお墓のこと、御仏壇のことまで書かれているか

前回のコラムで「自分で遺言書を書く場合も、遺言に残す対象となる財産の目録を手書きする必要がなくなった」というお話をさせて頂きました。

遺言の書き方に関する改正については、今年からすでに効力が生じています。以前は、目録を間違えずにきれいに書くのが大変、というお悩みもお伺いしたことがありましたが、いまから遺言を作成する場合、少し書きやすくなりました。

さて、「財産の残し方やお墓のこと、御仏壇のことまで書いているか」というのは、かなり重要です。

例えば、「私の財産の2分の1を〇〇に、2分の1を〇〇に、渡します」という内容で遺言したいとき、考えるのは

① 遺言を残したい人の財産の範囲が、どこからどこまでか

② 誰に対してどの財産を渡すかまで指定するか、どういう渡し方をするか

(インターネットにもかなり情報は出ていますが、税率はもちろん、残される側の家族にとって影響の出るお話ですので、遺言を作るときにはご相談の内容や状況に応じて、相当練ります。)

③ 登記が必要な財産の場合に、誰がどのように登記(又は仮登記)し、登記にかかる費用をだれが負担するか

という内容です。

僕も法律の専門家である以上、ある程度まで登記の見方、書き方、登記手続の方法は心得ているつもりですが、念には念を入れ、知り合いの司法書士の先生に相談することもあります。

(弁護士が自分でやらんと法律の専門家に相談しに行くんかいと思われるかもしれませんが、それぞれ得意な領域があることと、最終的にお客様のためになるのであれば、実はあまりこだわりがなく・・・)

遺言にはっきりと書かれていないことでも、書かれていることから忖度して補う、ということができることもありますが、残された家族にとっては、費用の負担のお話に万が一、疑問に残ってしまうと、他の書かれている内容にも色々と疑問が残ってしまうことがあり、やはりつらいです。シビアかもしれませんが、費用のお話や手続に関するお話も念のため、しっかり書き込んでおくことがお勧めです。

また、遺言を残したい人の財産の範囲が意外と盲点で、登記や登録がないものの持ち主がわからなかったり、登記等があっても時に「遺言書の全体を読めば、この財産は遺言の念頭に入っていなかったのでは・・・」と思えるような場合もあったりするので、わかる範囲で全部書ききる方が無難です。

どういう場合にどういう問題があるかは、また後々、お話しできればと思います。