2019年08月20日コラム
別居の際に当面の生活費についての支払を相手方から受けるため、婚姻費用の請求(調停)をすることは多いです。
男性側、女性側問わず、収入の少ない方が収入の多い方に対し、家事の分担の程度や別居に至った経緯、現実に必要な生活費の額等、諸般の事情を考慮し、裁判所公式の「算定表」を用いて計算されることが多いと思います。
同じく、お子さんの養育に必要な現実の出費額、人数、収入額などを考慮し、離婚の際に親権を持たない側から親権を持つ側へ、養育費の取り決めがされることになります。
支払が受けられない場合、当事者間の約束の段階であれば家庭裁判所で調停を起こしたり、調停した結果を守ってもらえないときには家庭裁判所からの履行勧告を行ってもらったりすることになります。
さらに、最近では、民事執行法が改正され、来年施行見込みなのですが、養育費を支払わない場合に財産の開示を求めることができ、相手方が従わない場合の制裁が強化されるとともに、銀行に対して「相手方の預金口座ありませんか、どの支店ですか」という内容を問い合わせ答えてもらうことができるようになります。同じように、市町村や年金機構等に相手方の仕事・給料等に関する情報を持っていないか問合せしたり、所有不動産に関する情報を法務局に問合せしたりできるようになります。
今までは取り立てが難しかったと判断されたような場合でも、現代社会で預金口座も仕事もなく生活することは難しいことですし、ある程度までは対策できるようになりました。恐らく、今後裁判所では養育費の支払の取り決めを行う際に、できるだけ自発的に約束を守ってもらえるように、法改正の話が出ることが多いのではないかと思います。