養育費、大事です。いきなりな話ですけど、とにかく何が大事かというと、養育費は「請求したとき」から具体的な権利として発生する(という考え方が取られることが多い)、ということです。
具体的に養育費の取り決めをしてあるとか、調停して決めたような場合には、過去に未払養育費がある場合に(時効が来なければですが)遡って請求できることがあります。
ただし、過去に請求していなかったり、請求した額や取り決めをした額について何も記録が残っていなかったりすると、後出しで遡って請求することは現状、かなり難しいです。もちろん、口頭での合意なども有効と言えば有効ですが、一定期間の振込記録や、請求したときに相手に渡したメモ書きなど、はんこのあるなしに関わらず、残しておいた方が絶対に良いです(合意書が残っている場合と比べると、最終的な回収額の見通しや回収の可能性などは率的に下がってきてしまいますが、無いよりある方が良いのはもちろんです)。弁護士的には、「調停申立の日(裁判所の受付印が日付アリで控えに押されている)」や「内容証明郵便の到達日」とかがやっぱり、一番はっきりするので、正直ありがたいところです。
また、これから請求する養育費の額を決めるときに、過去の養育費未払の事実が参考事情とされることはあっても、過去の事情を証明して過去の養育費の額を遡って取り決めすることが難しかったり、過去の未払分を含めた形では合意が取れなかったり、強制的に支払を求めようにも相手方にお金のストックが無かったりするので、実際にはあんまり回収できない場合が多く、(気持ちの上でかなりつらいですが)「回収までは、難しいと思った方が良いかもしれません」というお答えをせざるをえないような状況もあったりします。そういう意味では、養育費は頂けるときに頂いておく方が、結局、子供にとっても良いという話になります。
そして、養育費の未払が予想される相手に対して、強制執行できるような形にするには、公正証書か調停等、確実な方法を取った方が良いです。そして、そういう相手ほど、公正証書にするのはあれやこれやと理由をつけて嫌だと言うことが多かったり、額の算定において立証や法的な主張を強化しておいた方が良いような事情もあったりするので、こういう場合には比較的(弁護士をつけて)調停することをお勧めすることが多いように思います。調停の場では、お客様にも事情のご説明のためご同席頂きますが、弁護士が法的な面から補足したり、お客様にとって有利になると思われる事実の主張を、横に座って足したりしますので、(手前味噌ですが心強いというのはもちろん、)実質的には交渉をほぼ肩代わりする感じの状況となります。
養育費の計算式については、裁判所のホームページにも一般的な場合の計算表の記載がありますので随分やりやすくなったと思います。ただし、一般的な支出・家計額を想定して作られていますので、増額減額の理由が主張できるかどうかは、ぜひ弁護士にご相談頂いた方が良いです。
とにかく、請求する側にとっては、「養育費は早いうちに請求しておく」ことが大事です。また、養育費支払額に合意がとれていたとしても、公正証書や調停等によらない場合、相手方が支払わなくなった時にすぐ差押えなどに動けるわけではないので、結論としては「とりあえず、調停申立てしましょう」というアドバイスになります。